コムゲ

韓国ドラマ「トンイ」の中に登場する、コムゲ(劍契)というのは、賤民(せんみん)たちが自らを守るため結成した秘密組織のことです。

朝鮮王朝時代、貧富の差が激しく、身分の上下もあり、両班(ヤンバン)と呼ばれる特権階級であるところの貴族から始まって、賤民と呼ばれる、底辺の誰もが嫌がる仕事をする階級までありました。そんな彼らが、自分たちを横暴な権力から守るために、立ち上がった秘密結社というと格好良く聞こえますが、血判状こそはありませんが、それなりに厳しい規律に根ざした組織でした。

漢字では、「劍契」と書かれます。文字通り 「刀を差して歩く会」という意味で、日本でいうところの、裏新選組といったところでしょうか。秘密というところで、伊賀甲賀の忍者にも通じるところがあります。元々は葬式の費用を皆で負担するなど相互扶助を目的で結成された秘密組織だったといわれています。頼母子講の類でもあったわけです。それが、何時の時代からか、虐げられた鬱憤を晴らすかのように、武装して蜂起することになります。

民衆が武装蜂起という点から、中国の「水滸伝」に出てくる、黄巾党に似ています。

コムゲは、殺人、略奪、強姦、暴行と、まさに犯罪者になっていたので、当時の政府も対応に苦慮していたことが資料からもうかがえます。